コラム

伝統文化論

文化の時代!

明治維新の「富国強兵」はその役割を全うし、平成の日本は「富国有徳」を掲げる。静岡県はその「富国有徳」の命名者 川勝平太が県知事という特異な県である。

川勝知事は「富国有徳論」を始め、数多くの著書を出されているが、特に「文化力」では戦前は軍事力、戦後は経済力、そしてこれからは文化力だ、と特筆されている。文化が力になる、とはややもすると一笑に付される方もおられるだろう。計るものさしが経済、つまりお金に固執している限り止むを得まい。しかし、パラダイムの転換は当事者は認識すらできない。後世の識者達が指摘するのみである。

先を予測するには、予測する先と同等の過去の歴史に遡らねばならない。洋の東西を問わず、あらゆる過去の史実を比較考量する事が先行き検証の要諦となる。優れた歴史家でもある川勝知事の予見は、該博な知識から生じた慧眼によるものである。茶の湯、歌舞伎、能、浮世絵、祭りなどの伝統芸能が世界を魅了し、日本の伝統文化がやがては「力」となる、という川勝理論に、私は心から共感する者である。