コラム

理非曲直を、正せる相手と正せない相手がある

今回は領土問題について。領土も広義では不動産の領域。そこで一言述べたい。民法には、人の土地を自らの土地として、一定期間占有することで所有権を時効により取得する、とある。但しその間、所有者からの異議申立てがなかった、との前提の上である。つまり、所有権という権利の上に、安寧として眠る者は保護に値しない。なぜ返還請求権を行使しなかったのか、となる。更には、長期間のうちに証拠は散逸し、むしろ長期間継続の事実が、より真実に合致する蓋然性が高い、との理路に帰結する。

さて、竹島は明治38年に他国の支配が及んでいないことを精査した上で、島根県の行政区域に編入している。その点、尖閣諸島も同様。共に実効支配は日本である。しかし、相手は欺瞞、こじつけ、詐術は常套手段。民法どころか、国際法すら無力の感がある。日本が、安寧と眠る所有者との推断を避けるためには、泰然自若として、所有権の主張を貫徹することに尽きるだろう。