コラム

「風光明媚」を楽しむ

車で走っていると、桜が終わり丁度つつじが見頃である。畑にはすみれが一面に咲き誇り、山々の新緑の青葉も目に清清しい。春は新しい命が芽生える躍動感と、春風駘蕩(たいとう)たる穏やかな日和が共存し、年間を通じて自然の妙諦を最も味わえる季節である。二酸化炭素を吸収し、酸素を創出する草木があればこそ、人間社会は生存できる。普段忘れているそんな事も、風になびく青葉を見て感じることが出来る。

最近は狭くても庭や菜園が欲しい、という需要が増加している。郊外を更に離れた遠隔地でも、古い日本家屋に土地が150坪〜200坪位の中古住宅は引き合いが多い。購入者は異口同音に「菜園を広く欲しかった」と言われる。立地の不便さを補って余りある、悠揚たる生活への希求の現れである。荒唐無稽な今の世情に、せめてプライベートに自然の摂理を享受できる空間を所有できる事は、最上の選択、と言えるのかも知れない。